急に日が短くなり、
暑さによるからだの負担は軽くなり
とても過ごしやすい時季ですが、
日の入りが早いことで、
何だか少し物悲しい感じになります。
日照時間が短くなることで、
質の良い睡眠時間が取れないのも
この時季の特徴です。
眠りが浅い、寝つきが悪い、といった状態を
中医学・薬膳学では
血液循環を促したり、補血することで
改善します。
体内の血が不足している状態を、
中医学では「血虚(けっきょ)」と呼びます。
・不安感の増加
・集中力の低下
・過食
・睡眠の質の低下
血虚改善にお勧めの食材はタラ。
タラは薬膳効能として
①補気(元気にする)
②補血(血を補う)
とされています。
体力の低下やめまいなど、心身共に精をつけたい時にお勧めの食材です。
中医学では「血」は「熱」をつくる大切な要素。
補血することでからだが温まり、
気持ちもゆったりと安定する…というのが中医学の考え方です。
夏に冷たいものをたくさん摂ったことで
疲れた胃腸が悲鳴を上げだす時期でもあります。
ゆっくりとした時間をとって、
温かいスープでからだを癒しましょう。
【タラの薬膳ブイヤベース風】
「気」と「血」を補う食材・タラをメインに、
味と効能のアクセント、サフランと枳実を合わせ
気持ちの安定や安眠にお勧めのスープ
【脱力薬膳】タラの薬膳ブイヤベース風
材料(4人分)
- たら(切り身) 4切
- トマト 2個
- 玉ねぎ 1/2個
- セロリ 60グラム
- 枳実(青ミカンを干したもの) お好みの量
※オレンジやミカンの皮の千切りでもOK - サフラン 3つまみ
- 固形ブイヨン 1個
- 水 800cc
- 塩 小さじ1
- 酒 大さじ2
- 【A】酒 大さじ2と塩少々
(タラの下処理に使用)
作り方
1.タラは水で洗って水気を拭き、骨を取り除きます。
食べやすい大きさに切り【A】をふります。
トマトは1㎝角に、玉ねぎとセロリはみじん切りにします
2.鍋に玉ねぎとセロリ、分量の水を入れて火にかけます。
煮立ったら弱火にして、トマトとブイヨンを加え、5分程煮ます
3.タラ、サフラン、酒を加えさらに5分程煮て塩で味を調えます
4.器に盛って枳実をあしらいます
漢方でも薬膳でも重宝 「枳実」とは
枳実は、ミカン科のダイダイまたはナツミカンなどの
未熟果実を乾燥したものです。
当店では青ミカンの旬時期にまとめて乾燥し、
薬膳料理はもちろん、当店取り扱いの花茶ブレンドにも
よく使っています。
漢方的には、
・理気(気を巡らせる)
・健胃
・通便
・化痰(けたん)
などの効能があるとされ、
胸腹部のつかえ、腹痛、膨満感、便秘などに用いられます。
枳実を使った代表的な漢方処方例
・大柴胡湯(だいさいことう)
・四逆散(しぎゃくさん)
いずれも構成生薬のうち、枳実、芍薬、桔梗の組み合わせにより、
筋肉の緊張を緩め、膨満感を治す
大柴胡湯は最近ではダイエットでもお馴染みの漢方、
肥満症や便秘、高血圧などからだの余分なものを取るものとして、
処方されます。
一方、四逆散は四肢(手足)の逆冷(冷え)を解消して
気うつ感や不眠、膨満感を取るとして使われます。デトックスと冷えの解消。
真逆の症状のようですが、
枳実の持つ「理気」「通便」作用が他の生薬と合わさることで、
陰は陽に、陽は陰にバランスを整える作用をします。
今回の一品【タラの薬膳ブイヤベース風】では、
タラの持つ「気」「血」を豊かにする補う作用と、
トマトやセロリ、枳実の持つ「冷ます」「出す」作用が
おからだの陰陽バランスを整えます。
食材の五性と性味
タラ補血、補気に
性質
五性→平 性味→甘
熱を取り除く 口渇 食欲不振に
性質
五性→微寒 性味→甘/酸
胃を整える、「血」「気」を巡らす
性質
五性→温 性味→甘/辛
血を巡らせたり熱を冷ます
性質
五性→涼 性味→甘/苦
理気、便秘や腹の張りに
性質
五性→微寒 性味→辛/苦
ストレス軽減、美肌に
性質
五性→平 性味→甘