二十四節季「雨水(うすい)」も過ぎ、
少しずつ春の訪れを感じられる日も。
中医学・薬膳学では、
3月を寒い「陰」から暖かい「陽」へと移行する
大きな変わり目と捉えます。
春の暖かさを「陽春の候」と表現するのも
その一つなのかもしれません。
からだに良いものも悪いものもすべてため込む冬の季節から、
解毒と代謝をする春の季節に変わる時期です。
春の臓は「肝」。
「肝」が活発に動き始め負担がかかると、
「肝」の特徴である「怒り」が出やすくなります。
ちょっとしたことで、カチン!ときたりイライラしたり。
「時期だから仕方ない」と放置できないほど、
心を抑制できないのが、冬から春への変わり目なのです。
今回のスープ・ポタージュは
春のからだへ衣替え
をテーマに、献立しました。
・冬に鈍った胃腸の動きを、
春の活動期にあわせ元気にする新じゃがのポタージュ
・豊富なたんぱく質と気力・体力を補えるエビとニラのスープ
肝臓にはたんぱく質を代謝する機能がありますが、
その肝臓自体の栄養(肝血)となるのもまた、
たんぱく質です。
今回のスープで使ったている「エビ」は
必須アミノ酸を多く含む優秀なタンパク質食材の一つ。
肝血を養い、心身のバランスを取って
春のからだへバージョンアップ!
草木は枯れ、動物は冬眠し、 身体を休ませる
「閉蔵」の冬から軽やかに抜けていきましょう。
◇新じゃがのポタージュ
冬に活動が鈍った胃腸の動きを、
春の活動期にあわせ元気にするポタージュです
目でも春を感じられる菜の花を上にあしらえました。
その苦味で胃腸を刺激して活性化する菜の花と、
気を補って春の不安定な心身を元気にする新ジャガ。
早春の養生にピッタリのポタージュです。
じゃがいもの薬膳的効能
気の虚弱による
■息切れ 強い疲労感 動くとすぐ疲れる
■腹の張り むくみ 食欲不振
■めまい
「気」が不足することによる不調を補うじゃがいも。
栄養学的にも様々な効能を持つ野菜の一つですが、
今回注目したいのは、カリウムを豊富に含んでいること。
カリウムは、ナトリウムを排出する作用があり、
日頃からむくみがちな方や血圧高めの方にも良いとされています。
胃腸のはたらきを促し、体内に溜まった水分を排出します。
☆じゃがいも→甘/平
菜の花の薬膳的効能
■風邪予防
■美肌効果
■ストレス解消
■疲労回復
■貧血予防
菜の花は鉄分が豊富で、特有の苦味を持った野菜です。
古くから民間療法の薬としても使われてきました。
茎の部分は血液の循環をよくするものとされ、
蕾の部分の独特の辛味は
体内の毒素を出し、滞っているものを発散させて
気血を巡らせます。
☆菜の花→辛/温
◇エビとニラのスープ
豊富なたんぱく質と気力・体力を補えるスープです
高タンパク質な食材・エビと卵、疲労回復に効果的なニラは
血を増やして巡りを良くするゴールデントリオ。
大きめなエビはプリっとした歯ごたえが楽しめます!
目にもおいしい彩りで、うまみもたっぷりです。
エビの薬膳的効能
■体力・気力の増強
■足腰のだるさや冷えの緩和
■めまいやふらつきの改善
エビは良質なタンパク質が多く含まれる食材です。
薬膳学・栄養学共にからだを温め、体力増強できる食材です。
薬膳学的には
体を温めてスタミナをつける強壮効果が高く、
体力、気力をアップさせます。
めまいやふらつき、手足の震えなどの症状改善にも。
栄養学的には
高たんぱく質で低脂肪、
コレステロールの吸収を抑えて排泄するタウリンが含まれています。
★エビ→甘/温
ニラの薬膳的効能
■血流の滞りによる腹の張り、胸のつかえの改善に
■解毒作用
■眼の疲れの回復
■冷え性の改善
旬の春にはニラの解毒作用などの効能や栄養価が高くなります。
疲労回復や食欲増進にとても効果的です。
栄養学的には非常に多く含まれるカロテンの他、
ビタミンCやカリウム・カルシウムなどの
ミネラルがバランスよく摂取できます。
ニラの独特の強い香りは 、にんにくや葱にも含まれる
アリシンという香り成分です。
アリシンは殺菌・解毒作用の他、
疲労回復に効果のあるビタミンBの吸収を促進させます。
★ニラー→辛/温